がん遺伝子解析サービス
自社開発ゲノム解析サービス プレシジョン検査 がんクリニカルシーケンス 自社開発ゲノム解析サービス プレシジョン検査 がんクリニカルシーケンス

一人ひとりの遺伝子異常に基づく治療法を推奨する
「がんゲノム医療」とは?

1.国内で立ち上がった、「がんゲノム医療」

2015年より「がん遺伝子検査」の提供が開始されました。これらの「がん遺伝子検査」(図1参照)は、がんの発症に強く関連した数百種類の遺伝子について検査する「パネル検査」と呼ばれるもので、いずれも医療保険の適用されない自費診療として実施されています。また、厚生労働省ではがんゲノム医療を保険診療に取り入れるための「がんゲノム医療中核拠点病院」を設置し、一部のがんについては保険収載にむけて先進医療Bとして実施されることが決まりました。


図1:がん遺伝子検査の概要
がん遺伝子検査の概要

2.三菱スペース・ソフトウエアとがんゲノム医療の関わり

当社では、2014年よりiPS細胞の安全性評価のゲノム解析に関わり、その技術を応用して2016年より大学病院に対して、がんゲノム検査に適用したがん遺伝子解析サービスの提供を開始しました。従来、日本国内で展開されていた多くのがんゲノム検査は、米国にて解析を実施していましたが、当社のがん遺伝子解析サービスによって、すべての工程を国内で完結できるようになりました。
さらに、2017年7月からはゲノムシーケンスまでの工程を国内の検査会社と研究所に委託する連携体制を構築し、病院側がラボを持たなくても検査ができる体制を整えました。現在、慶應義塾大学病院をはじめとする国内の複数の医療機関にて「PleSSision検査(*1)」として、当社の技術を用いた「がん遺伝子検査」が実施されています。
*1 PleSSision検査:Pathologists edited, Mitsubishi Space Software supervised clinical sequence system for personalized medicine

3.がん遺伝子検査とはどの様なものか

両親や親戚に「がん」に罹患された方がいて「我が家はがん家系だ」とか「父親が胃がんに罹ったので自分にも遺伝しているか心配」といった話をよく聞きます。よって、生まれながら両親より継承した遺伝子を解析することにより、がんの原因を探ることが「がん遺伝子検査」であると誤解されることがあります。
しかしながら、現在の医学では「がん」の発症は主に生後に発生した遺伝子変異の蓄積*1によって生じるという考え方が主流です。これは「多段階発がん説」(図2参照)と呼ばれるモデルであり、そのモデルに従って、手術検体や生検で得られた「がん細胞」の後天的な遺伝子配列変異を調べることが「がん遺伝子検査」です。この検査は、安価に受けられるDTC遺伝子検査*2と大きく異なります。DTC遺伝子検査では、口内粘膜などから抽出したDNAより生まれながらの遺伝子配列*3の点変異を検出することで、体質や遺伝性疾患に関する情報を得ることができるといわれていますが、がん組織にはなんらアクセスしていないため、がんの治療に結び付ける情報を得ることは非常に難しいと考えられています。
現在、保険診療にて実施される「標準治療」においても既に「多段階発がん説」に基づいたがん遺伝子検査が取り入れられています。例えば、肺がんの治療においてEGFR (Epidermal Growth Factor Receptor)と呼ばれる細胞増殖に強く関連する遺伝子の変異を調べて、陽性であればEGFRチロシンキナーゼ阻害薬*4を処方するという治療が行われています。これは、肺がんでは典型的ながん遺伝子であるEGFR遺伝子の変異陽性者に対しては、その働きをブロックするEGFR阻害剤が非常によく効くことが判明しているために行われる検査です。がん遺伝子の研究はヒトゲノムの解明以降に加速度的に進展したため、EGFR以外の遺伝子に関しても相当多くのことが判明しており、解明したがん遺伝子に対応した多くの阻害薬がすでに承認され治療に用いられています。そして、それらのがん遺伝子の変異を網羅的に調べて、がん種にかかわりなくドライバー遺伝子*5に対応した阻害薬を選択するのが「がん遺伝子検査」です。

*1. これらの遺伝子変異は「体細胞系列遺伝子変異: Somatic Mutation」と呼ばれている
*2. ダイレクト・トゥー・カスタマーの略、インターネット企業などが医療機関を介さず直接顧客の遺伝子解析を行うサービスのこと
*3. 生殖細胞系列 Germline という
*4. イレッサ、タルセバなどとして知られる分子標的薬
*5.多段階発がん説において、がんの増殖に強く関連するといわれている遺伝子


図2:多段階発がん説の例(大腸がんの発症メカニズムの例)
多段階発がん説の例(大腸がんの発症メカニズムの例)

総じていえば、遺伝子を標的にする分子標的薬はがん種にかかわらず発症原因になっている遺伝子とマッチすれば奏功するはずです。しかしながら、現在は原発臓器ごとに戦略を練られた標準治療によって「がん種」と「分子標的薬」の組み合わせが決められており、そのままでは、同じ遺伝子変異を持つ他の原発性がんに処方することは難しい。そこで、100個以上のがん遺伝子変異を解析して、他のがん種用に開発された分子標的薬との適合性を網羅的に解析するのが「がん遺伝子検査」の目的です(図3参照)。


図3:ドライバー遺伝子変異に基づくがん種横断的な治療戦略
ドライバー遺伝子変異に基づくがん種横断的な治療戦略

4.遺伝性腫瘍の解析について

多段階発がん説により、がんは後天的な遺伝子変異により発症すると述べましたが、まれに遺伝する「がん」も存在します。遺伝子の変異は、紫外線、喫煙や化学物質への暴露など外的要因や、精神的ストレスなどの内的要因や偶然生じる遺伝子の複製エラーによって生じるといわれています。そして、リスクの高いがん遺伝子にあらかじめ遺伝的な変異を持つ方がまれに存在する、その方の子孫が遺伝性腫瘍の患者になる可能性が高くなります。
一般的に遺伝性腫瘍の遺伝子を持つ方は全人口の1パーセント以下といわれています。そして、がんを発症された患者さんにおける遺伝性腫瘍の割合は我々の解析の経験では約1割程度でした。「がん遺伝子解析サービス」においては、手術検体や生検によって得られた「がん組織のDNA配列」と血液から得られた「GermlineのDNA配列」を比較することによって、がん細胞に生じた後天的な変異である「Somatic Mutation」を高い精度で検出する方式を採用しています。副次的に検出される遺伝性腫瘍の根拠となる「がん遺伝子のGermline変異」の開示を希望された患者さんには、病院の遺伝カウンセラーを通じて結果をお知らせすることになっています。
これまで、遺伝性のがん遺伝子変異を持つというと、非常にマイナスのイメージが大きかったが、PARP阻害剤と呼ばれる新しい医薬品の登場により「遺伝性のがん遺伝子変異」のイメージが変わりつつあります。というのも、PARP阻害剤は、遺伝性乳がんの原因遺伝子として知られるBRCA1/2遺伝子にGermline変異を持つ人に効くといわれているからです。これまで、前述したHER2陽性でもホルモン陽性でもないトリプルネガティブ乳がんには有効な分子標的薬はなかったが、新しく開発されたPARP阻害薬はBRCA1/2遺伝子変異陽性のがんによく奏功するといわれている。特に、遺伝性のBRCA1/2遺伝子変異を有する場合には、有効性が高まるという治験結果が報告されており、「遺伝性のがん」だからこそ治療法があるという、これまで考えられなかったプラスイメージが生じつつあります。

お問い合わせ

お問い合わせ

※上のボタンを押すと問い合わせフォームが立ち上がります。ご利用ください。
PAGE TOP